システム監査体験セミナー(実践編)開催結果報告

会員番号 1709 荒町 弘(近畿支部)

近畿支部では、2015年10月24日(土)、25日(日)大阪大学中之島センターを会場として、システム監査体験セミナー(実践編)を開催しました。受講者は3名、1つの監査チームでの実施となりました。
IT系の建設業や情報通信サービス業などを手掛ける企業g社を事例とし、「経営戦略と情報戦略・システム企画の適合性」「システムとユーザーニーズの適合性」について外部監査を行い、監査報告では課題および課題解決に向けた方向性を示すという流れでロールプレイを交えながら実施しました。

●講義 & トップインタビュー

saaj2015102401最初にコース内容およびシステム監査の実施手順について説明。監査対象企業であるg社の組織の確認をはじめ、社内の情報システム概要や「基幹システムの概要と関連業務の流れ」や「ICT中期計画」等について確認し、その後、受講者はチーム作業を開始し、トップインタビューの準備に入りました。

●予備調査 & 監査個別計画作成

トップインタビューでは、g社が外部監査を依頼するに至った背景や、T社の買収を含めたg社の事業展開の狙いなどについて聞き出した後、g社の事業戦略と情報戦略の整合性や、現行の情報システムに関する評価などについて経営層からみたコメントをもらいました。そして、T社との合併後の情報システムのあり方についての懸念事項などを聞き出すことができました。
 saaj2015102402トップインタビュー後は、従業員アンケートによる情報システムの現場業務への適合度に関する調査結果も踏まえて予備調査の準備が進められました。
予備調査では、情報システム本部長と営業部長向けに15分間のインタビューを実施し、その結果を踏まえて監査個別計画書の作成および発表を行い1日目のカリキュラムは終了しました。

●本調査 & 監査報告

saaj20151024032日目は、本セミナーのメインとなる本調査を実施しました。監査チームメンバは前日にとりまとめた監査計画書および予備調査で収集した情報をもとに、被監査部門であるSIサービス事業等を担当するSEおよびSEマネージャに対する20分間のインタビューを実施しました。質問内容はよく練られており、ITの運用を担う現場での課題などについて、より細かく掘り下げる質問が次々と成されました。インタビューを通じて、現場側での情報システムに対する改善要望なども出てきており、あらためて、g社情報システムの全体最適化に対する取組みが必要であることを確認することができました。
本調査実施後は、本調査のまとめと監査報告書作成、そして最終的には今回の監査依頼者であるg社の経営者を含めた被監査部門への監査報告会を行いました。被監査部門からの質問に対して、これまでの議論を重ねた内容をもとに適切な回答・助言を行いました。
最後に、講師から監査報告書サンプルの紹介と解説、受講者との意見交換などを行い一連のカリキュラムは終了となりました。

●受講者からは以下のコメントを頂戴しました(受講アンケートより抜粋)

<カリキュラム>

・実務の訓練ができたことはとてもよかった。

<セミナー運営>

・もう少し講義があってもよかった。
・初日の開始時間を午前中にしたほうがありがたい。
・事前配布資料が直前に届いたため目を通せなかった。
<その他、気づいた点、改善点など>
・システムの問題点を的確に指摘できるようなシステム監査が求められていると思います。
・ファシリテータのような人を入れて議論や作業がはかどるようにしたほうがいいと思います。

●所感

今回の監査は、企業合併や事業の多角化を進めるg社の情報システムにおける、現場のニーズへの適合性について、および経営戦略と情報戦略との適合性について診断するという、難易度の高い監査であったと思います。
情報システムのあるべき方向性を示してほしいという経営トップからの依頼に対する答えを導き出すには業種や業界に関する理解と予備調査で得た情報の深い読み込みが必要と思われるため、監査チームの方は苦悩される部分が多かったのではないかと思います。
監査チームの皆様は限られた時間ではありましたが、議論を尽くして一連の監査手続きに臨んでもらいました。受講者の皆様、本当にお疲れ様でした。

以上