会員紹介記事Vol.005  浦上豊蔵様

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・実施日:2012年4月3日(水) 15時30分~16時30分
・場 所:三洋電機株式会社 会議室
・面談者:浦上豊蔵担当部長
・取材担当:林裕正、金子力造、永田淳次

1.1 システム監査及びSAAJと関わりを持たれた経緯

!cid_69239D34-AD15-4BEA-A175-A4D308E767F8 三洋電機株式会社に入社し、当初は、ビデオテープレコーダ(VTR)のメカ設計を担当していました。その後、VTRの制御用マイコンの開発を半導体メーカーと行うなど、ソフトウェア制御システムの開発を行っていました。2000年代半ば位までの家電製品は携帯電話もそうでしたがROMに書き込むタイプで、製品出荷後にバグが発生すると、製品回収するしかなくソフトウェアの完成度は高いものが求められていました。組込ソフトウェア開発の信頼性向上の方法をいろいろ模索していたのですが、その時に最初に出会ったのがシステム監査基準(今のシステム管理基準)でした。1990年代の初め頃だったと思います。
私が所属していた事業所では1990年代の前半にEDP部門とCAE部門が統合され事業部横断の情報基盤センターが組織化されました。私も初めは組込ソフト開発手法の標準化メンバーとして参画したのですが、製品に使用するマイコン用の開発ツールがマイコンのメーカーに依存し、製品毎に使用するマイコンが異なる状況で有ったため開発手法の標準化に理解が得られず困難な状況でした。事業所間の足並みが揃わない状況でしたが、自社の開発センターが開発した汎用アセンブラシステムやコードマネジメントシステムをDEC社のコンピュータ上で動かし、複数人が開発したソフトウェアの変更管理の一元化を行うなど、バグの低減化に取り組んでいました。私たちが担当したシステムでは、出荷後のバグは無かったと記憶しています。 その後、グループウェア等情報系システムの導入推進や経営層への活用啓蒙、そしてサプライチェーンマネジメントシステム(SCM)のプロジェクトを担当しました。 情報基盤センターでは、業務関連のシステムに携わることも多くなり、スキルアップを図ることを目的に、情報システム監査技術者試験を受け、その合格を機に協会に参加しました。
SCMを担当したとき、マネジメントは制御システムに於けるフィードバックコントロールと同じであるということに気付きました。制御を行う場合センサーを使って機械の状態を検出し、目標値との差を元に次の目標値を演算して目標の状態になるようにシステムをコントロールします。SCMにおいても、目標となる販売量を決め、実際の販売量との差分を元に、次の生産に必要な原材料の投入量や仕入れ量をコントロールします。制御システムでは状態の検出する周期を短くすればより精密にシステムをコントロールできます。SCMにおいても計画を達成するために、例えば実販売量の把握を、年次、半期、四半期、月次とより細かくすることにより売上げの達成精度を上げることができるのです。

1.2 システム監査及びSAAJに関わる活動の中で思い出に残る事例やエピソード

組込ソフトウェアの開発を担当していたときシステム監査基準に出会ったのですが、その時に感じたのは、システム監査基準の考え方は汎用性があり、ホスト機だけでなく組込みシステムのソフトウェア開発にも適用でき品質向上に適用可能であるということでした。情報戦略や企画、開発、運用、要員管理、外部委託などそこに記述されている項目はフレームワークとして組込ソフトウェアに対して適用するものでした。確かに元々対象としているシステムがホスト系であるため、全く違和感が無いとは言えませんが、そのほとんどは内容を補足したり読み替えることで組込系ソフト開発に適応できるものです。
協会に入会して良かったことは、制御システムを担当されていたメンバーや、私の考えを支持して下さる先輩方に巡り会えたことです。
協会における私の活動は、協会主催の2001年5月の第1回システム監査実践セミナーに参加したことをきっかけに、2002年から2007年まで近畿支部独自に開催をした実践セミナーのスタッフそして講師の一員として参画させて頂きました。それまでは、システム監査を実際に経験したことはないペーパードライバーでしたが、この活動を通じてシステム監査のノウハウを先輩メンバーから学ぶことができました。

システム監査を学んで思ったことは、監査は経営の一部であること。監査を通じて経営に貢献できるということです。私は、理解ある上司からの推薦により、会社から2004年から2005年にかけて米国ボストン大学のMBAに留学し経営を学ぶ機会を与えてもらいました。その後大阪市立大学社会人大学院創造都市研究科でITをどうビジネスに活用するか学びました。
2007年からは監査室で勤務し、これらで得られた知見をIT統制の業務に活かしてきました。ただ、残念なことは、まだまだ多くの人が監査についての理解度が低く、規定や基準と実際の業務での遵守状況を評価することだけが監査人の業務だとみていることです。私が監査を行うときには、必ず部門の経営者に対して、監査の目的、経営への貢献そして現場だけでは改善できない状況の理解の要請とその対応方法の提示を行い、経営者として改善を主導することの必要性を説明し理解を得るようにしています。

2.1 現在のお仕事

!cid_ABDD6546-B0FE-4056-8614-36DCF1EEC2D2 三洋電機がパナソニックグループ傘下になってから、情報子会社の監査室、アメリカの子会社の情報担当副社長を経て、現在は、三洋電機株式会社ITシステム本部のIT統制推進グループに所属し、主にパナソニックグループでのSOX監査対応を行っています。私が担当する範囲は、グループの海外子会社です。
現在の職場に於いても、現場からの信頼を獲得し、内部統制が適切に確保されるように心掛けています。

2.2 趣味として取り組まれているもの

オーディオの製作が趣味で、アンプやシンセサイザー等を自作していました。最近はアメリカ留学中にはまったBOSE社の製品を愛用しています。自宅のパソコンは、1979年にコモドール社のPET2001を購入したのが最初で、現在はApple社のMacを使っています。家族もMacを使っており、デスクトップ、ラップトップ等4台が現役で使用しており、最初に購入したものから含めると7台のMacが稼働する状態で残っています。

3.1 IT部門の課題

まず、ITが経営に貢献していることが見えにくい。もっと経営に必要なものだとアピールする必要があります。その為にシステム部門は、システムをただ動かすだけではなく、使い方や活用法のアドバイスなど積極的に利用部門に提示していかなければなりません。会社のビジネスにおいてどのようなITが求められているかを、身近に知ることができるのは社内のIT部門です。 IT部門から能動的に現場のニーズを発掘しシステムを提供する。そしてその使い方を現場に教授する。そうしないと、アウトソーシングでどんどん外に出ていってしまう。
クラウドについては、スタートアップとしては良いと思います。クラウドで出来ない部分をシステム部門できっちりフォローし、ITで培った事業に関するノウハウは、強みとして内部にキープすべきだと思います。本来システム部門の人間は、全体の業務プロセス(特にデータの流れ)を一番良くわかっているはずです。IT部門は、トップマネジメントと業務担当部門の間に入って、歯車ではなく、ミドルアップダウンマネジメントを実践して、IT活用を提案しながら、プロセスの変革を促し会社を良い方向に変えて行く意識を持つことが大事だと思っています。

3.2 システム監査の課題

Exif_JPEG_PICTURE 今後クラウドコンピューティングが進展し、ITもファブレスの時代になると思います。場合によっては、社内にシステムを運用する人がいなくなることもあります。しかしクラウドサービスがいろいろ出てくる中で、これをどう利用するか、どう標準化するかという情報戦略については十分な検討がなされていない(できない)状況かと思います。そういう意味でシステム監査も再考が必要です。サプライチェーンマネジメントでも話しましたが、経営は制御システムに似たところがあります。システム監査人はITと経営の知識を持った方が多いと思います。システム監査人は、その知見を生かして、経営者にITを活用して企業を元気にするようアドバイスできる存在でありたいと思います。
システム監査人協会では、いろいろ学ばせていただきました。しかし経営者は、まだまだシステム監査の必要性がよくわかっていない。経営にどう役に立つのか?ということを、もっと発信し、協会としてシステム監査のプレゼンスを上げていくことが大事ではないでしょうか。

<所感>

守口市のPanasonic三洋電機株式会社にて、取材させていただきました。経験した仕事をお聞きするにつれ、社内で、地道に着実に、情報システム監査に関する成果をあげられているように感じました。
クラウドコンピューティングの進展でITシステムのファブレス化へと変化すると、技術の切り口で語られており、監査対象となる情報システムの変化を把握し、新たな情報システム監査像を描いておられるところが印象的でした。
浦上様がシステム監査のプレゼンスの向上の重要性を説かれている姿をみて、頼もしく感じました。今後とも、社内外での活躍と、その成果に期待しています。

日本システム監査人協会 近畿支部では、システム監査に従事されている方、システム監査にご興味のある方、また支部活動を支援して下さる方を広く募集しております。

詳しくは、こちらよりお問合せください。


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